交通事故死傷者ゼロを目指す「タテシナ会議」の分科会活動、取り組みの進展と今後の方向性を確認 ~クルマ・人・交通インフラの三側面からの働きかけと、人の安全行動を支援~
2025.02.07
一般財団法人トヨタ・モビリティ基金(理事長:豊田章男、Toyota Mobility Foundation、以下「TMF」)は、交通事故の死傷者ゼロを目指す「タテシナ会議」※1の分科会活動において、この度、参画39社約190名からなる総会を開催し、取り組みの進捗と今後の方向性について共有しました。 また、将来構想として、DX技術を活用して安全・安心な交通社会を追求する、「交通デジタルツイン※2」のアイデアについても情報交換を行いました。
主な内容は以下の通りです。
1.各分科会の活動進捗と今後の方向性
分科会 | 活動の状況 | 今後の方向性 |
---|---|---|
「データ活用・危険地点見える化」 | 愛知県豊田市を事例に、車両や人の動き、事故情報、ヒヤリハット情報等を集約したデータベースを構築 | 26年度までに、利用者に合わせた危険情報やアドバイス等を提供できるモデル・基盤を開発 |
「高齢者安全運転支援」 | 運転診断ツールの継続的改善、診断への関心を高める手法の開発を地域住民の参画もいただきながら実施 | 26年度以降に、関心の醸成~診断~安全運転の継続(必要な場合、免許返納後の自由な移動)を支援する仕組みの実装を目指す |
「新しい児童への啓発」 | ・「ヒヤリハット体験調査・マップ」の自治体展開、親子向けVRシミュレーションの開発を継続・教育現場や家庭において簡便に使える啓発ツール検討に着手 | ・「ヒヤリハット体験マップ」の一層の普及と内容充実、VR体験・シミュレーションツールの改善・来年度内、ツール・施策の試行開始 |
「自転車・二輪」 | ITSスマートポール活用によるヒヤリハットの大幅な削減効果を確認 | ・来年度、東京都においてITSスマートポール活用による法令順守率向上・定着化実証を開始・来年度、特に事故が多い高校生を対象にした啓発施策を展開 |
「海外」 | タイにおいて、車両プローブデータ、市中カメラ、ドローン映像等を用いた事故の原因調査・対策立案を実施 | ・来年度、二輪車運転挙動データも活用した事故原因究明~対策立案~効果測定の方法論を構築・二輪X四輪車事故防止のための啓発活動を実施 |
分科会間の協調方向性 | 交通ルール遵守につながる啓発活動や効果的なインフラ対策に活用可能なデータ基盤や社会の仕組みを生み出す |
2.安全と安心を追求する「交通デジタルツイン」構想の共有
<コンセプト>
- データ統合技術およびシミュレーション技術を活用し、究極の安全・安心な交通社会の実現を目指す
- 人々が主体的に安全安心な交通社会を築けるようにデータやシミュレーションを通じて支援を行い、事故削減だけではなく、事故への不安やヒヤリ体験そのものを無くす
【イメージ図】
【総会参加者より提案: TMFおよびタテシナ会議参画企業等との連携を想定】
<TMF早川理事長代行 挨拶>
<分科会取り組みのプレゼンテーションの様子>
本活動では、企業の枠を越えて交通事故の死傷者ゼロを目指した議論と仲間づくりを進めるための場である「タテシナ会議」の下、2023年7月より、「データ活用・危険地点見える化」、「高齢者安全運転支援」、「新しい児童への啓発」、「自転車・二輪」、「海外」の5つの分科会を立ち上げ、「交通事故死傷者ゼロの実現時期を少しでも早めること」を目標に具体的な取り組みを進めています。
引き続き、「安全な交通社会は皆でつくるもの」という考え方に基づき、クルマ・人・交通インフラの三側面(「三位一体」)から、データと技術を活用し、自治体や関係機関とも連携を図りながら、効果的な施策実施に向けて活動していきます。
※1 タテシナ会議:毎年交通安全に祈りを捧げる「蓼科山聖光寺夏季大祭」において自動車や関係する業界のトップ役員が一堂に会す機会を活用した交通安全のための会議。 企業の枠組みを超えた交通事故死傷者ゼロに向けた取り組み「タテシナ会議」の活動について|活動内容一覧|一般財団法人 トヨタ・モビリティ基金 動画「たくさんの『ただいま』のために タテシナ会議分科会」https://youtu.be/9MW_-muSRKA?si=bc8kLNTfPY7KtUkx ※2 交通デジタルツイン:デジタルツインは現実世界にあるものを、「双子」のようにデジタル上でリアルに再現する技術。デジタル上に交通状況を再現し、将来予測の上、現実世界の交通にフィードバックする構想。
<ご参考> タテシナ会議 参加企業・組織一覧 (順不同)
トヨタ自動車は創業以来、お客様、ビジネスパートナー、従業員、そして地域社会等、全てのステークホルダーを尊重しながら、自動車を通じた豊かな社会づくりを目指して事業活動を行なっています。そして、より公益的な活動を行うことを目的に、2014年8月、TMFを設立しました。 TMFでは、モビリティを通じた豊かな社会づくりへの貢献に向けて、世界中で移動課題への対応をはじめとした幅広いプロジェクトに取り組んでいます。
TMFは、幅広いプロジェクトを通じて培った技術やノウハウを活用し、多様なパートナーとの協議を通して、国連が定めるSDGs(持続可能な開発目標)の考え方にも沿った活動を進め、持続可能な社会の実現に向けて貢献していきたいと考えています。
参考資料