熊本県、トヨタ自動車、トヨタ・モビリティ基金、「くまもと通るモン!プロジェクト」を始動 -「通れた道マップ」を起点に災害発生時における迅速な初動対応ならびに、復旧・復興を支えるデータ活用モデルの確立を目指す-
2025.09.01
熊本県、トヨタ自動車株式会社(代表取締役社長:佐藤恒治、以下「トヨタ」)、一般財団法人トヨタ・モビリティ基金(理事長:豊田章男、Toyota Mobility Foundation、以下「TMF」)は、災害発生時における迅速かつ円滑な初動対応および、復旧・復興支援に役立つ情報活用に関する連携協定に合意し、本日、木村敬熊本県知事らの出席のもと、締結式を行いました。
今後、「くまもと通るモン!プロジェクト*1」の名称のもと、車両通行実績や地図情報を活用し、災害時の対応力を高めるためのデータ活用の方法を検討していきます。

<締結式の様子>
1.背景
災害時において、通行できる道路の情報は、迅速な人命救助、物資輸送等に直結する重要な要素です。平成28年熊本地震や令和2年7月豪雨では、主要道路が寸断される等、道路インフラに甚大な被害が生じ、初動対応にも大きな影響を及ぼしました。また、本年8月10日に発生した記録的な大雨の際にも、その必要性が再認識されました。
災害発生直後の道路の通行可否を判断するための情報源として、実際に車両が走行した経路を即時に把握することができる車両のプローブ情報*2の活用が期待されています。
2.取り組み内容
トヨタが提供する「通れた道マップ*3」では、車両プローブ情報を用いて、災害発生時には過去3時間以内の車両通行実績やリアルタイム交通情報を可視化しています。今回の取り組みでは、より即時性のある情報を提供するため、過去1時間以内の情報表示も可能とします。
熊本県は、市町村や関係機関を通じて収集している冠水・損壊・倒木等による「通れない道路」、拠点病院や避難所等の災害対応に不可欠な施設の情報を提供し、両者の情報を重ねた統合マップを構築します。統合マップを熊本県主催の防災訓練等で使用する実証実験を通じて、災害発生時の迅速、円滑な初動対応に繋がるデータ活用の方法を検証していきます。

<統合マップイメージ>
3.活動期間
2025年9月1日~2026年3月31日
4.取り組みにおける主な役割分担
主な役割 | |
---|---|
熊本県 | ・道路被害等の情報提供 ・災害応急対策活動における活用方法の検討 ・防災訓練を通じた検証機会の提供 |
トヨタ自動車株式会社 | ・熊本県保有情報の「通れた道マップ」への 取り込み ・統合マップの有効な活用方法の検討 |
一般財団法人トヨタ・モビリティ基金 | ・取り組み全体の支援 |
<協力> 特定非営利活動法人ITS Japan |
・広域的な活用を見据えた本取り組みへの助言 |
<協力> 株式会社トヨタマップマスター |
・復旧、復興段階の生活再建に寄与する助言 |
今回得られた成果をもとに、災害対応における車両通行実績の広域的な活用の可能性を探るとともに、地図情報を活かした復旧・復興支援のあり方も検討します。これらの検討は、ITS Japan/トヨタマップマスターとも連携し、より広い知見を取り入れながら進めていきます。
本連携協定により、行政と民間が連携し、災害発生時に誰一人取り残さない社会の実現に向けたデータ活用モデルの確立を目指します。
*1:「もん」は熊本県の言葉で「人」を表すとともに、語尾に用いられることで強い意志を示します。「くまもと通るモン!プロジェクト」の名称には、「災害発生時に誰一人取り残さない」「必ず助けに行く」という意志が込められています。
*2:トヨタ自動車のコネクティッドサービスを利用している車両のカーナビ等から取得できる位置情報や車両情報データが統計処理され、個人が特定されない形に加工してあるデータで、渋滞・危険箇所の可視化など交通環境や道路環境を把握することで社会課題の解決や社会貢献の目的で利用されます。
*3:「通れた道マップ」は、トヨタのテレマティクスサービスをご利用の車両から収集したプローブ情報を基にした通行実績をリアルタイムで地図上に表示します。
トヨタ自動車は創業以来、お客様、ビジネスパートナー、従業員、そして地域社会等、全てのステークホルダーを尊重しながら、自動車を通じた豊かな社会づくりを目指して事業活動を行なっています。そして、より公益的な活動を行うことを目的に、2014年8月、TMFを設立しました。 TMFでは、モビリティを通じた豊かな社会づくりへの貢献に向けて、世界中で移動課題への対応をはじめとした幅広いプロジェクトに取り組んでいます。

TMFは、幅広いプロジェクトを通じて培った技術やノウハウを活用し、多様なパートナーとの協議を通して、国連が定めるSDGs(持続可能な開発目標)の考え方にも沿った活動を進め、持続可能な社会の実現に向けて貢献していきたいと考えています。
参考資料