トヨタ・モビリティ基金と米国バブソン大学が、 モビリティ課題の解決に向けたプログラムを設立
2019.05.10
一般財団法人 トヨタ・モビリティ基金(Toyota Mobility Foundation。以下「TMF」)と、起業家育成をリードするバブソン大学(米国マサチューセッツ州)は、起業家精神から生まれる革新的なモビリティソリューションの構築を目指すプログラム「Future Lab for Mobility」を設立しました。プログラムは2年間の予定で、TMFが2百万米ドル(約2.2億円) を活動資金として拠出します。
バブソン大学の学長ケリー・ヒーリー氏は、「都市におけるモビリティ課題の解決や、地域社会におけるモビリティの向上に向けてTMFと共に活動する機会を得たことを大変喜ばしく思います。教員、学生、卒業生、リサーチセンター等、関係者が一丸となって起業家精神を発揮しながら取り組んでいきます。」と述べました。
モビリティ分野におけるイノベーションは人々の能力発揮を助け、制約を取り払い、可能性を広げます。「Future Lab for Mobility」では、バブソン大学の起業家精神とTMFのモビリティに関するノウハウや専門知識を組み合わせ、人間中心デザインに基づく未来の理想的なモビリティの実現に向け、アイデア創出、実践的活動、起業家の育成と支援を連携して行っていきます。 プログラムの実施にあたっては、ボストンや他の都市の協力を得て、実際に起きている課題を解決するための方策を立案、試行しながら、良いものは他の都市での横展も図ります。
TMFの豊田章男理事長(兼 トヨタ自動車(株) 代表取締役社長)は、以下のように述べました。 「トヨタは、安全で確実な移動手段の提供を通じ、より豊かな生活につながるモビリティ社会の実現を目指しています。そして、この度、起業家精神に焦点を当てて人材育成を図るバブソン大学をパートナーとして、将来のモビリティを探求するプログラムを設立することになりました。この先100年を見据えて、より良いモビリティ社会の創造を目指し、バブソン大学と共に学び、発見し、新たなアイデアにトライすることを大変楽しみにしています。」
「Future Lab for Mobility」では、食品、ヘルスケア、ICT等の分野においてバブソン大学が過去実績を残して来た手法を基に、モビリティ分野におけるTMFの経験を活用しながらプログラムを構築します。カリキュラムには、専門家によるメンタリング、ビジネスモデル試行、資金計画等も含まれ、参加者は、地方行政や民間を代表する地域のリーダーと直接連携しながら、課題解決に向けて新たなソリューションを試行していきます。
「Future Lab for Mobility」プログラム概要
- 期間:約2年間 (2019年秋~2021年秋)
- 予算: 2百万米ドル(約2.2億円)
- 主な活動内容
・活動対象地域の調査、決定
・現地フィールドワーク(ニーズ・課題把握、対応方向性の検討、ステークホルダーとの関係構築)
・ソリューション検討と実施(アイデア提案と選定、試行、他地域での展開検討)
・状況に合わせて改善を実施
バブソン大学は、あらゆる分野における起業家育成に取り組んでいます。学生、教員、職員が協力し、ビジネスや現実社会における課題解決に向けて、実務能力を備え、変化や不確実性に対応し、チームのモチベーションを高め、世界に変化を起こすことができるリーダーとなる起業家を育成しています。
そして、半世紀近くに渡り、持続可能な経済や社会価値の創出に向けて、起業家的な発想とその実践を推進しています。
TMFは、2014年8月の設立以来、豊かなモビリティ社会の実現とモビリティ格差の解消に貢献することを目的に、タイやベトナム、インド、ブラジルでの交通手段の多様化や、日本の中山間地域における移動の不自由を解消するプロジェクトへの助成のほか、障害者向けの補装具開発を支援するアイデアコンテストの実施、水素研究の助成、人工知能による交通流最適化の共同研究など、世界のモビリティ分野における課題に取り組んでいます。
今後も、トヨタの技術・安全・環境に関する専門知識を活用しながら、大学や政府、NPOや調査研究機関等と連携し、都市部の交通課題の解消、パーソナル・モビリティ活用の拡大、次世代モビリティ開発に資する研究などの取り組みをすすめていきます。
参考資料