岡山県美作市上山地区で、中山間地域の「移動の自由」実現に向けたプロジェクトを実施
岡山県美作市上山地区で、中山間地域の「移動の自由」実現に向けたプロジェクトを実施
地域の移動支援
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岡山県美作市上山地区で、中山間地域の「移動の自由」実現に向けたプロジェクトを実施

美しい棚田の再生と地域の生活・経済の活性化を目指す

トヨタ・モビリティ基金(TMF)は2015年から約4年間、岡山県美作市上山地区における「中山間地域の生活・経済活性化のための多様なモビリティ導入プロジェクト(通称:上山集楽みんなのモビリティプロジェクト)」に対して助成しました。本プロジェクトはTMFの国内における初の助成事業として、地域に暮らす高齢者や子供の移動の不便を解消しながら、農業や観光業による経済の活性化を図り、日本の国土保全にとって重要な役割を担う、中山間地域の維持に向けたモデルづくりに取り組みました。

上山地区は奈良時代から1000年以上続く棚田の村です。かつては8300枚もの棚田がありましたが、その多くは、過疎化・高齢化によって耕作放棄地となっていました。

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2007年より、都市からの移住者と地域住民、行政などが協力して棚田の再生や地域の伝統行事の復活が開始され、地域に少しずつ活力が戻りつつあるものの、過疎化・高齢化は止まらず、依然として、農林業の衰退や、地域住民の移動の不自由が大きな課題となっていました。

産官学、地域住民と連携して取り組みを実施

本事業では、現地で活動するNPO法人みんなの集落研究所、NPO法人 英田上山棚田団に助成し、美作市役所や岡山大学、岡山NPOセンター、地域住民の方々などと連携して活動を推進しました。

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助成先の2つのNPOが地区の全住民を対象に、地域課題や移動の現状(行き先、頻度、移動手段等)などをヒアリングすることから活動を開始しました。その結果を、地域の高齢者、若者、移住者などで共有するとともに、困り事の解決のために住民同士で何度も話し合いを重ね、コミュニティの本来の機能が徐々に復活していきました。「百歳になっても住み続けられる地域になる」との目標を掲げ、住民が日常の困り事(移動、草刈り、子守り等)を気楽に助け合う仕組み(助け合いしちゃろう会)が設置されました。

地域の目標達成に向けたモビリティの活用方法として、次の観点で様々な実証実験を行いました。

  • 1.買い物や通院など日常生活での不便解消
  • 2.農林業の負担軽減
  • 3.生きがいを兼ねた仕事の創出
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活動事例1

地元の若者や移住者の定住に向けて、重要な条件である現金収入向上に関する施策を試行。(例:超小型EVのレンタルや観光ツアー)

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活動事例2

農林業の重労働軽減のためのソリューション創出に向けたハッカソンを実施。半自走式の草刈り機を企画・開発

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活動事例3

移住者が地域の高齢者と共に祭りを復活させるなど、コミュニティを維持・活性化

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これらの活動を通じて、中山間地域における移動課題の解決は、移動を含む生活全般に関わる仕組みやコミュニティの活性化という視点が重要ではないかと考えています。加えて、人口や経済規模に見合った、サステナブルな取り組みの継続や、住民の楽しさ、やりがい等に配慮した対策を、住民と行政が一体となって取り組むことが重要であることを学びました。

上山集楽みんなのモビリティプロジェクト評価報告書(2020年7月)

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