アフリカの農村支援
牛乳や農作物の市場までの運搬や日々の水汲み等が大きな課題
トヨタ・モビリティ基金(TMF)は、ジンバブエとケニアにおいて、NPO法人などと協働し、農村におけるモビリティ支援を実施しています。
ジンバブエでは、農村コミュニティに電動三輪車のシェアリングサービスを提供しているNPO法人Mobility For Africa(MFA)を支援。続くケニアでは、ジンバブエでの活動をベースに、更なる収益性の確保と持続可能性を目指した農村支援を実施しています。
ジンバブエ、ケニアの農村では、自給自足を中心とした小規模な農家が数多く存在しますが、移動手段が限られています。牛乳やバナナなどの、農作物を多くの女性が長時間かけ、徒歩で市場まで運び、また、毎日の生活に必要な水も徒歩で汲みに行くなど、大きな負担となっています。また、子供たちの通学や、住民の通院のための移動手段も限られているという現状があります。
電動三輪車のシェアリングにより小規模農家の負担を軽減
2019年に開始したジンバブエのプロジェクトでは、MFAとともに小規模農家コミュニティへの電動三輪車のシェアリングを実施。太陽光による充電が可能なバッテリーを動力源とした電動三輪車は、農家の収益性向上と女性の労働負荷軽減を図っています。
TMFはデジタル技術を活用し、効率的な農作物の集荷工程やライドシェアリングの仕組みを整備。また、ドライバーへの運転教育や、電動三輪車の整備工場の4S(整理・整頓・清潔・清掃)や安全指導などを地元のトヨタ販売店の協力を得ながら実施しています。
持続可能なモデルに向けて取り組みを強化
2020年にスタートしたケニアのプロジェクトでは、ジンバブエでの活動をベースに、パートナーであるNPO法人EASVRMとともに農作物の販路・バリューチェーン拡大や、収益拡大を目指した事業構築に取り組み、より持続可能な活動を目指しています。
具体的には、
1.牛乳やバナナなどの効率的な集荷・運搬による収益力向上
2.データやアプリを活用した活動の管理範囲の拡大
3.JICAの協力の下、農業の生産性向上や高付加価値作物栽培
などの取り組みを実施。
小規模農家の作物の集荷・運搬を効率化し、生産者と作業者の負担減を可能にします。また非効率的な栽培や運搬に起因する作物のロスが減少したことで、農家の収入増にもつながっています。
今後、取り組みの規模拡大や新たなパートナーからの、安定的な支援資金を獲得するとともに、コスト低減など、持続可能な「農村モビリティモデルづくり」が求められます。TMFではさらに多くの知見・ノウハウのある組織と協業・連携し、モデルのレベル向上に取り組むとともに、他地域への展開を目指します。