水素社会に向けた研究を支援
水素社会に向けた研究を支援
水素社会に向けた研究を支援
水素・エネルギー
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水素社会に向けた研究を支援

カーボンニュートラルの実現に向けて、水素が重要な役割を果たすことが期待されています。なかでも、再生可能エネルギーと組み合わされたCO2フリー水素は有力な選択肢ですが、水素の製造~貯蔵・運搬~利用というサプライチェーンのすべての領域において技術革新やコスト低減が求められています。

トヨタ・モビリティ基金では、これらの課題解決に不可欠な基礎研究を腰を据えて支援することの重要性を示すために、2017年度に「水素社会構築に向けた革新研究助成」を開始。より強力でスピード感ある活動を支援するため、2021年度から新たに「研究者チームによる共同研究」を開始しました。この一連の支援プログラムを通じて、未来に向けた研究の襷(たすき)をつなぐため、次代を担う研究者を育てる「人づくり」を進めてきました。

プロジェクト紹介ビデオ

革新研究
助成
共同研究 人づくり

水素社会構築に向けた
革新研究助成

再生可能エネルギー由来の水素を電気と組み合わせて使う、理想的なクリーンエネルギーシステムの実現に資する優れた基礎研究を支援すべく、2017年度に公募を開始し、水素を「つくる」「はこぶ・ためる」「つかう」というサプライチェーンのすべての領域にわたって3期で29件を採択しました。

採択者には3年間で上限 1,000万円の助成金を提供するとともに、評価委員会による定期的な研究評価・フィードバックや、研究者同士の交流機会を設けるなど、独自の運用を行うことにより、研究の進展はもとより、新たな気付きや視野拡大につながりました。

採択者および研究テーマ ※2023年4月時点

小島 宏一

水素製造

小島 宏一

産業技術総合研究所
主任研究員

再エネ推定発電電力と水電解モデルによる水素製造システムの動的シミュレーション

佐藤 正寛

水素製造

佐藤 正寛

東京大学
准教授

光電気化学水分解反応における触媒/溶液界面構造の解明

轟 直人

水素製造

轟 直人

東北大学
准教授

ステンレス鋼を水電解触媒として高機能化する革新的表面改質技術開発

松井 敏明

水素製造

松井 敏明

京都大学
准教授

プロトン導電性固体電解質デバイスのための空気極開発

松澤 幸一

水素製造

松澤 幸一

横浜国立大学
准教授

CO2フリー水素製造のための水電解用革新的酸化物系触媒の開発

金 賢得

水素貯蔵・運搬

金 賢得

京都大学
助教

水素の室温大量貯蔵を実現する多孔性高次構造の分子ダイナミクス描像に基づく解明と先導的デザイン

長澤 兼作

水素貯蔵・運搬

長澤 兼作

産業技術総合研究所
主任研究員

水素エネルギーキャリア合成の為の有機ハイドライド電解槽の高効率化

朝原 誠

水素利用

朝原 誠

岐阜大学
准教授

多孔障壁を用いた高圧水素貯蔵設備における保安距離代替措置の検討

古林 敬顕

エネルギー・社会システム

古林 敬顕

秋田大学
准教授

空間情報を考慮した持続可能なCO2フリー水素供給システムの設計

吉岡 剛

エネルギー・社会システム

吉岡 剛

東京大学
特任研究員

再エネ電源とFCVを用いた電力・水素複合エネルギーシステム実現のための研究

伊藤 良一

水素製造

伊藤 良一

筑波大学
准教授

酸性条件下でも使用可能な卑金属電極の開発

髙梨 秀樹

水素製造

髙梨 秀樹

東京大学
特任准教授

CO2フリー水素の経済的な供給を目指した高収量かつメタン発酵に適するソルガムの育種開発

佐藤 勝俊

水素貯蔵・運搬

佐藤 勝俊

名古屋大学
特任准教授

オンデマンドで水素を製造する革新的「急速自立起動型」アンモニア酸化分解プロセスの構築

瀬下 雅博

水素貯蔵・運搬

瀬下 雅博

地球環境産業技術研究機構
主任研究員

MCH水素キャリアにおける高耐久・高効率膜反応器の実用検討

小西 康裕

水素利用

小西 康裕

大阪公立大学
名誉教授
客員研究員

SDGs達成に向けた白金族元素(燃料電池用)のバイオベース資源循環・電極触媒調製技術の創出

小澤 暁人

エネルギー・社会システム

小澤 暁人

産業技術総合研究所
主任研究員

水素と電力の代替関係を踏まえた国内エネルギーシステムの最適設計

小野 恭子

エネルギー・社会システム

小野 恭子

産業技術総合研究所
研究グループ長

水素ステーションに関連するリスク評価・社会受容性調査

立川 雄也

エネルギー・社会システム

立川 雄也

九州大学
助教

再生可能エネルギーの多様性・地域性に基づく水素蓄エネポテンシャルの解析技術の開発

辻 隆男

エネルギー・社会システム

辻 隆男

横浜国立大学
准教授

水電解装置の高速負荷制御による緊急時における電力系統の周波数制御方式

稗貫 峻一

エネルギー・社会システム

稗貫 峻一

電力中央研究所
主任研究員

水素エネルギーの効果的な利用に向けたライフサイクルエクセルギー解析

金 済徳

水素製造

金 済徳

物質・材料研究機構
主幹研究員

高温水(水蒸気)電解用炭化水素系電解質膜の開発

髙橋 康史

水素製造

髙橋 康史

名古屋大学
教授

効率的な触媒材料開発に資する水素発生サイトの可視化技術の創成

中村 将志

水素製造

中村 将志

千葉大学
准教授

水素発生反応を活性化する電気二重層の構築

木元 慶久

水素貯蔵・運搬

木元 慶久

大阪産業技術研究所
主任研究員

軽量水素吸蔵合金の量産技術開発

永岡 勝俊

水素貯蔵・運搬

永岡 勝俊

名古屋大学
教授

貴金属フリーアンモニア合成触媒の高活性化に関する研究開発

森 浩亮

水素貯蔵・運搬

森 浩亮

大阪大学
准教授

リバーシブル触媒によるCO2/ギ酸を基盤とした光スイッチング水素貯蔵放出

大石 昌嗣

水素利用

大石 昌嗣

徳島大学
准教授

新規水素直接溶解メカニズムを用いたプロトン導電性固体電解質材料の創造

西原 正通

水素利用

西原 正通

九州大学
教授

電解質のガスバリア性に着目した燃料電池の長寿命化と高出力化

辻本 将晴

エネルギー・社会システム

辻本 将晴

東京工業大学
教授

水素エネルギー・エコシステムの可視化と成立可能なエコシステムの提案

研究者チームによる共同研究

2020年10月には政府により「2050年カーボンニュートラル」が宣言され、脱炭素社会の早期実現に向けて取り組みのスピードアップが求められることとなりました。そこでトヨタ・モビリティ基金では、個人の研究支援に加えて、研究者のチームによる共同研究への支援を2021年度より新たに開始しました。

この共同研究では、カーボンニュートラルに向けたシナリオや具体的な水素導入について検討する「水素社会/エネルギーシステム」と、再生可能エネルギーを水素に変換するキーテクノロジーである「水電解」という二つのワーキンググループ(以下WG)を編成し、「水素社会構築に向けた革新研究助成」プログラムの採択研究者の中から各WG5名を選出しました。

活動開始にあたっては、評価委員に加えて、企業や業界団体での経験豊富なアドバイザーを新たに設定し、社会実装を見据えた助言・指導を行いました。

体制

研究者チームによる共同研究 体制図

■水素社会/エネルギーシステムWG

WGテーマ:短中期的に経済的・環境的に実現可能な水素エネルギーシステムの研究

  • ─水素導入シナリオと水素の利用価値を最大化する産業・社会モデルの提案(産業技術総合研究所 小澤暁人)
  • ─再生可能エネルギーの地域間融通を考慮した水素供給システムの設計(秋田大学 古林敬顕)
  • ─電力需給や水素需給とコネクトするためのプラットフォーム構築(九州大学 立川雄也)
  • ─短中期的(2030年頃)に導入想定する地域のエネルギーシステムへの水素技術の適用(東京大学 吉岡剛)
  • ─マイクログリッドによる日本版P2Gの推進(東京工業大学 辻本将晴)

成果

    • HESS特別講演会で発表(2022.11.30)

一般社団法人水素エネルギー協会(HESS)の特別講演会でチーム発表を行いました。WGテーマのもとに各メンバーが取り組んだ研究内容について講演を行うとともに、相互に作用しあって考察を深めながら研究を進める共同研究のスタイルを示しました。

・研究報告書はこちら

■水電解WG

WGテーマ:再エネの変動入力を用いた水電解装置の最適化研究

  • -再エネ変動に対応可能な水電解装置のスペック(コストや耐変動性)の
    明確化とコストダウン要素の抽出(産業技術総合研究所 小島宏一)
  • -評価項目(効率、耐久性、コスト等)の抽出(産業技術総合研究所 長澤兼作)
  • -PEM電解電極の変動入力電源利用時の課題抽出(筑波大学 伊藤良一)
  • -アルカリ電解電極の変動入力電源利用時の課題抽出(東北大学 轟直人)
  • -固体酸化物型電解の変動入力電源利用時の課題抽出(京都大学 松井敏明)

成果

    • 総説レビューが学術誌に掲載(2023.2.8)

水電解に関する総説レビューが水素に関する著名な学術誌であるInternational Journal of Hydrogen Energyに掲載されました。水電解の技術動向や課題について体系的にまとめたレビューはあまり例がなく、今後の水電解研究開発の進展に寄与することが期待されます。

詳細については、以下のウェブサイトをご覧ください。(※英語のみ)
Influence of renewable energy power fluctuations on water electrolysis for green hydrogen production - ScienceDirect

  • 学術誌 International Journal of Hydrogen Energy
  • 学術誌 International Journal of Hydrogen Energy

・レビュー論文がHESS協会誌に掲載(2023.9)

水電解に関するレビュー論文(日本語版)が一般社団法人水素エネルギー協会(HESS)の協会誌である「水素エネルギーシステム」に掲載されました。International Journal of Hydrogen Energy に掲載された総説レビュー(英語版)を元に、日本特有の課題や考察を加えています。

▼レビュー論文の表示はこちら

水素エネルギー システム

人づくり支援

新しい技術やしくみを社会に導入するためには基礎研究が不可欠ですが、その成果を実現に導くには、そこに取り組む人材の育成と環境整備が重要です。

トヨタ・モビリティ基金は、「水素社会構築に向けた革新研究助成」~「研究者チームによる共同研究」という一連のプログラムを通じて、長期に亘って研究に没頭できる環境を提供するとともに、相互研鑽の場づくりや次代を担うリーダーとしての気概の醸成を行ってきました。

この支援を通じて育った研究者が、水素研究に関する中心的存在として活躍することを願っています。

人づくりの工夫

項目
実施内容
自己研鑽 ・評価委員による評価、フィードバック
・他の研究者との交流機会
視野拡大 ・評価委員による助言、指導
・他の研究者との交流機会
・産業界との接点提供
環境整備 ・3年間に亘る研究支援
・柔軟な研究計画変更
・基礎研究助成~共同研究の連続的な支援

◇評価委員(委員 五十音順)※2023年6月時点

  • 佐々木 一成

    佐々木 一成(委員長)
    国立大学法人九州大学 副学長・水素エネルギー国際研究センター長

  • 坂田 興

    坂田 興
    一般財団法人エネルギー総合工学研究所
    アドバイザリー・フェロー

  • 志満津 孝

    志満津 孝
    株式会社豊田中央研究所 取締役 兼 CCO*
    *Chief Collaboration Officer

  • 高木 英行

    高木 英行
    国立研究開発法人 産業技術総合研究所
    研究チーム長

  • 古谷 博秀

    古谷 博秀
    国立研究開発法人産業技術総合研究所
    研究戦略企画部 次長
    (カーボンニュートラル担当)
    福島再生可能エネルギー研究所 所長代理(兼務)

  • 松橋 隆治

    松橋 隆治
    国立大学法人東京大学大学院 工学系研究科 電気系工学専攻 教授

  • 光島 重徳

    光島 重徳
    国立大学法人横浜国立大学 大学院工学研究院 教授

◇アドバイザー

  • 中島 良

    中島 良
    テクノ 2050 中島技術士事務所 代表

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