一般財団法人トヨタ・モビリティ基金(理事長:豊田章男、Toyota Mobility Foundation、以下「TMF」)は、企業の枠組みを超えた交通事故死傷者ゼロを目指す取り組み「タテシナ会議」※1の海外分科会が推進する交通安全プロジェクト「TRUST(Thailand Road Users Safety through Technology)」※2の一環として、2026年7月3日(金)、バンコクにおいて交通安全に関わる主要な関係機関が参加するワークショップを開催しました。

本ワークショップでは、チャトゥチャック地区における事故多発地点の分析結果をもとに、関係機関が課題認識を共有し、具体的な交通安全対策の方向性について議論を行いました。

TRUSTは、TMF、バンコク都庁、国連人間居住計画、アジア工科大学院、トヨタ・モーター・タイランド、Road Accident Victims Protection Co., Ltd.による協働プロジェクトです。 車両プローブデータやCCTV映像などの多様なデータを活用したAI分析、体系的なデータ収集、ニアミス事象や危険挙動の把握などを組み合わせ、重大事故につながるリスクや危険行動を把握し、実効性の高い交通安全対策につなげることを目指しています。

今回のワークショップには、バンコク都庁、災害予防・軽減局、交通政策計画局、陸運局、警察、チャトゥチャック区、民間企業・関係団体などが参加しました。参加者は分析結果の検証、課題の整理、対策の優先順位付けを行い、今後の実施に向けた方向性を確認しました。

ワークショップ参加者
ワークショップにおける対策案議論

1.背景

タイでは、交通事故が依然として深刻な社会課題となっており、特にバンコクのような交通量の多い都市部では、バイク利用者や歩行者などが大きな影響を受けています。これまでもさまざまな取り組みが進められてきましたが、さらなる交通安全の向上に向けては、データに基づく事故要因の分析と、関係機関が連携した実効性の高い対策の推進が求められています。

2.ワークショップの内容

(1)事故多発地点の重点分析

TRUSTプロジェクトでは、チャトゥチャック地区における事故発生状況や道路特性をもとに、以下の地点を重点分析対象として選定しました。

G2:ワット・サミアンナリ小学校前・駅高架下 
G4:ラチャダー・ラップラオ交差点 
G5:ラチャダー・ソイ32 合流部

分析にあたっては、CCTV映像、ドローン映像、AI分析ツール(DataFromSky社、Transoft Solutions社等)を地点の特性に応じて組み合わせて活用しました。これにより、車両や歩行者の移動データを可視化し、交通の交錯状況や危険行動の発生傾向を分析することで、地点ごとの事故要因の特定を進めました。

交通事故多発地点(バンコク)
事故多発地点の特性に応じたデータ分析により、事故の根本要因を特定

また、従来の事故記録に加え、TTC(Time to Collision)を用いたニアミス分析も取り入れ、通常の現地観察や事故記録だけでは把握が難しい潜在的なリスクを抽出しました。これにより、発生頻度や時間帯、行動パターンを定量的に分析し、リスクの優先順位付けを行うことが可能となりました。
 

(2)主な分析結果

分析の結果、各交通事故多発地点において異なるリスク要因が確認されました。例えば、G5(幹線道路合流地点)では、合流・分岐部における車両の交錯が主要なリスクとして特定されました。特に、渋滞を回避するための不適切な車線変更により、直進車両と右左折車両との間に大きな衝突リスクが生じていることが分かりました。
また、AI分析と現地観察を組み合わせることで、危険な運転行動と道路・インフラ条件との関係を可視化し、事故の根本要因をより明確に把握できることが確認されました。

分析結果(バンコク)
G5地点(ラチャダー・ソイ32)の分析結果と現地観察結果

(3)分析結果を踏まえた対策検討

分析結果をもとに、以下の3つの観点から対策案を議論しました。

・道路、インフラ対策  (例:路面標示、視認性向上、交通流の再設計、減速措置等)
・人、行動面の対策  (例:交通啓発活動、運転者教育、交通取締り)
・車両面の対策  (例:車両プローブデータ等を活用した運転挙動の把握)

ワークショップでは、短期・中期・長期の視点から対策の方向性を整理するとともに、大判地図を用いたグループ討議や優先順位付けを通じて、対策の優先順位や実施の方向性を整理しました。また、関係機関や地域関係者が参加し、地域の実情や既存施策との整合性を踏まえながら、実効性の高い対策について議論を行いました。

3.今後の展開

本ワークショップは、バンコクにおける交通安全対策の推進に向けて、関係機関の連携を強化する重要な機会となりました。分析結果に基づき、地域の実情に応じた優先対策の方向性が共有されるとともに、各機関の役割や今後の進め方についても整理が進められました。 
また、ワークショップにはKUB-DEE-DAI-DEEプロジェクト※3からの参加もあり、交通安全と啓発活動をつなぐ知見共有の場ともなりました。 
TRUSTプロジェクトは今後も、データに基づく分析を具体的な対策へと結び付け、関係者との協働を通じて、より安全で包摂的かつ持続可能なモビリティ社会の実現に貢献していきます。

トヨタ自動車は創業以来、お客様、ビジネスパートナー、従業員、そして地域社会等、全てのステークホルダーを尊重しながら、自動車を通じた豊かな社会づくりを目指して事業活動を行なっています。そして、より公益的な活動を行うことを目的に、2014年8月、TMFを設立しました。
TMFでは、モビリティを通じた豊かな社会づくりへの貢献に向けて、世界中で移動課題への対応をはじめとした幅広いプロジェクトに取り組んでいます。

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TMFは、幅広いプロジェクトを通じて培った技術やノウハウを活用し、多様なパートナーとの協議を通して、国連が定めるSDGs(持続可能な開発目標)の考え方にも沿った活動を進め、持続可能な社会の実現に向けて貢献していきたいと考えています。

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