トヨタ・モビリティ基金 京都府警との連携協定にかかる成果を発表
交通事故リスク評価と生活道路×観光地における各種データ分析の結果を公表
一般財団法人トヨタ・モビリティ基金(理事長:豊田章男、Toyota Mobility Foundation、以下「TMF」)は、2026年3月12日、京都府警察本部(本部長:吉越清人)、トヨタ自動車株式会社(代表取締役社長:佐藤恒治、以下「トヨタ」)、東京海上日動火災保険株式会社(取締役社長:城田宏明、以下「東京海上日動」)、株式会社JTB(代表取締役 社長執行役員:山北栄二郎、以下「JTB」)とともに、観光地(嵐山)における交通事故対策などに取り組む「京都 はんなり 和(なごみ)のみちプロジェクト」の成果を公表しました。
本取り組みでは、京都府警と民間のデータの融合により、生活道路におけるリスク要因の推定手法の開発を行うとともに、嵐山地域の道路の混雑状況や交錯危険を予測するため、車や人流データなどを詳細に分析しました。
また、各社は本連携協定について、2026年4月1日~2027年3月31日までの延長を行い、本リスク評価を交通事故の未然防止に活かす手段の検討や観光地×生活道路の交通安全対策のモデルづくりに向け、今後さらに協働を深めていきます。
今回発表した成果の主な内容は以下の通りです。
1. トヨタ
(1)生活道路のリスク要因の推定
生活道路で増加している出会い頭事故や人対車両の事故について、車両プローブデータなどを用いて原因分析を行いました。京都市内の生活道路は、地域住民と観光客が混在して利用する特徴があります。そのため、急ブレーキ発生率だけでなく、抜け道として利用されているかどうかや生活外利用者の割合も評価しました。結果として、事故が発生した交差点の約40%は、交通量が多く、抜け道として使われている可能性が高いことが分かりました。また、これらの交差点では生活外利用者の割合も高くなっています。幅員の狭い生活道路でも、幹線道路のように利用される場所で事故が多発しており、車両の操作面では強い加速が見られる地点ほど事故が起こりやすい傾向が明らかになりました。さらに、他のデータも含めて作成したリスクモデルから、嵐山地区の危険地点もピックアップしました。
- 抜け道利用の判断は周辺幹線道路の交通量と比較して行い、生活利用者かどうかはデータ取得期間内に複数日市内を走行しているかで判定しています。
【参考例示】本モデルで割り出した嵐山地区の高リスク交差点
(2) 奥嵯峨地区の交通状況
奥嵯峨地区はWebページなど様々な場所で観光コースとして紹介されており、観光客が増加傾向にあることが指摘されていました。中には車で来られる方もおり、地域住民の方の移動と合わせて道路の混雑が発生してしまうこともあります。実際にデータで確認すると、9:00-16:00では生活外利用の方が半数を超えており、生活利用者の通る経路と生活外利用者の通る経路が交錯していることもわかりました。
2. 東京海上日動
嵐山地区の生活道路において、弊社の保有するドライブレコーダーのデータ等から交通実態分析、またAIを活用した事故発生リスク分析を行いました。
(1)生活道路における交通実態分析
嵐山地区で事故が起きている路線において、東京海上グループである日本工営株式会社のノウハウも活用し、通過車両の発着エリアや、時間帯ごとの通過速度などを分析しました。路線における速度の推移や、速度が高い区間、時間帯がわかり、嵐山地区外からの通過交通割合が高い路線では抜け道利用の可能性を確認しました。当該車両群の属性を分析することにより、法人車両群の速度が高いことも確認できており、今後は関係機関と連携して効果的な事故の未然防止策を検討します。
また、小学生の安全な登下校を守るべく、小学校周辺の登下校時間帯における路線交通実態分析も進めています。
【参考例示】嵐山地区の1路線における通過車両の速度推移
(2)AIを用いた交通事故発生リスク分析
嵐山地区を中心に、京都府警察、トヨタ自動車、東京海上日動等のデータを基にAIを用いた交通事故発生リスク分析を行いました。本分析ではこれまで事故が多発している地点だけなく、潜在的な事故リスクが高い地点も算出しています。
3. JTB
(1)嵐山観光スポットにおける国内観光客および訪日外国人観光客の人流分析、事故地点等との照合
分析時期: 2024年10月~12月
分析エリア: 嵐山エリア(京都市右京区) JR嵯峨嵐山駅、阪急嵐山駅、渡月橋、奥嵯峨
分析対象: 国内観光客、訪日外国人観光客(インバウンド)
- 国内観光客:日中・夜間の滞在場所傾向によりそれぞれ勤務者・居住者を判定、それ以外の来訪者を推計
(2)分析結果
① 嵐山への月別来訪者数と主要な流入経路
嵐山エリア(渡月橋)のユニーク来訪者(※1)は、1か月あたり国内観光客が15~22万人、訪日外国人観光客が11~12万人程度でした。紅葉時期である11月に国内観光客が1.5倍程度に増えることと比較し、訪日外国人観光客は月の波動が大きく変わらないことが確認できました。
また嵐山への流入はJR嵯峨嵐山駅の利用が最も多く、一番賑わう11月には国内外合わせて48.5万人程の来訪がありました。これに対し、阪急嵐山駅の利用は約25万人と半数程度です。渡月橋周辺の来訪者が34.5万人、多くの観光客がJR嵯峨嵐山駅を利用されている実態が確認できました。
【嵐山エリア各所 月別来訪者数(国内・訪日外国人観光客) <2024年10~12月>】
※1 ユニーク来訪者:同じ人が指定期間内に何度訪れても1人とカウントした来訪者
② 渡月橋北側・長辻通の混雑状況
特に混雑が話題となる渡月橋北側・長辻通のエリアでは、10月~11月の日中に1時間あたり1,000人を超える滞在が常態化していることが判明しました。11月の紅葉時期には、9時から17時まで慢性的に1,000人以上の来訪が継続し、大通りだけでなく、抜け道となる側道まで広範囲にわたって人流が多い状況が確認されました。
【長辻通周辺 国内観光客 時間帯別 <2024年11月>】
③ 嵐山への来訪者の前訪問地
嵐山への来訪者について、国内観光客は推定自宅を、訪日外国人観光客は嵐山訪問前に立ち寄った訪問地を分析いたしました。その結果、いずれも約25%=4人に1人が京都府外や、大阪方面など京都以西からの来訪者という状況でした。京都市産業観光局「令和6年度京都観光総合調査」によると、国内/訪日外国人観光客ともに京都への交通手段はおよそ8割が鉄道利用とあり、JR嵯峨嵐山駅・阪急嵐山駅の来訪者数からすると、大多数が京都駅を経由して嵐山へ移動していると推定されます。来訪者の集中・混雑を避けるためにも、訪問ルートの分散は有用と考えられます。
今後は渡月橋北側・長辻通のメインエリアだけでなく、事故の潜在的な危険性がある抜け道を通る観光客の実態も調査を進めます。
【嵐山訪問者の推定自宅、前訪問地 <2024年10~12月>】
今般、多様な関係者が連携したデータ分析により、生活道路における危険地点の特定やその原因、観光客の移動・集積状況など様々なことが明らかになりました。今後は、こうした道路利用の実態をふまえた交通事故の未然防止策や交通参加者の属性をふまえた啓発施策、観光客動線の分散やマナーの向上など、多角的な取り組みを行っていきます。
また、取り組みの実効性を上げるため、京都府警を始めとする地元の関係機関との協力関係も強化していきます。
関連リンク・参考資料
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TMFは、幅広いプロジェクトを通じて培った技術やノウハウを活用し、多様なパートナーとの協議を通して、国連が定めるSDGs(持続可能な開発目標)の考え方にも沿った活動を進め、持続可能な社会の実現に向けて貢献していきたいと考えています。


